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熱負荷計算 -室内負荷(構造体負荷)の計算-

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熱負荷
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この記事では室内負荷の一つである構造体負荷の計算方法について解説します。

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構造体負荷について

外壁、屋根、土間床、地中壁などの構造体から侵入する、貫流熱負荷のことです。この負荷は冷房、暖房ともに計算を行います。それぞれについて説明していきます。

構造体負荷の計算(冷房時)

冷房時の構造体負荷計算では構造体の部位によって負荷を計上するかどうかが変わります。その違いを下記に示します。

  • 外壁・屋根 → 計上する
  • 土間床・地中壁 → 計上しない

土間床、地中壁は地面に面しており、冷房負荷計算の設計温度(26℃程度)に対し、地中温度は年平均外気温度程度(16℃程度)であるため熱損失となります。よって、安全側となり、計上されません。

外壁・屋根の構造体負荷計算は下式によって求めます。

外壁・屋根の構造体負荷 計算式

qn=K×A×ETDn

qn:構造体負荷(外壁・屋根 冷房時)[W] K:構造体の熱通過率[W/(m2・K)]
A:構造体の面積[m2] ETDn:実効温度差[℃]

熱通過率、実効温度差についてどのように求めるかについて以下に示します。

外壁・屋根の熱通過率(冷房時)

構造体の熱通過率とは構造体の熱の伝わりやすさを示す値で下式によって求められます。

熱通過率 計算式

K=1/(1/αo+l11+l22+…+lnn+1/αi)

αo:外表面熱伝達率[W/(m2・K)] αi:内表面熱伝達率[W/(m2・K)]
ln:構造体nの厚さ[m] λn:構造体nの熱伝導率[W/(m・K)]

外壁・屋根の実効温度差(冷房時)

実効温度差とは、日射による影響、熱貫流の時間遅れを考慮した、仮想的な温度差のことであり、下記に示す要素によって決定されます。どの要素が変わるとどう温度差が変わるのかを感覚として示してみました。

壁タイプ・・・壁材、壁厚、断熱材の有無によって温度差が変化

コンクリート壁で壁厚が薄いと、壁による時間遅れが発生しづらいため、日の出とともに温度差が大きく出るが、壁厚が厚くなると日の出から少し遅れて温度差が大きくなります。

方位・・・日射の影響により、温度差が変化

日の出とともに東側の温度差が大きくなり、日の入とともに西側の温度差が大きくなります。

時間・・・日中と夜間で温度差が変化

日射の影響を受けず、外気温も低い夜間は温度差が小さく、日射の影響を受け、外気温も大きくなる日中は温度差が大きい傾向にあります。

このような条件をもとに、実効温度差を求めます。最大熱負荷計算の場合、ある壁タイプ、時間、方位の実効温度差を求めていきます。簡易的な計算では表から求めることが多いです。

構造体負荷の計算(暖房時)

暖房時については各構造体について貫流熱負荷を計上します。

外壁・屋根・土間床・地中壁→ 計上する

外壁・屋根の構造体負荷計算(暖房時)

外壁、屋根については下式によって求めます。

外壁・屋根の構造体負荷 計算式

qn=K×A×Δtn

qn:構造体負荷(外壁・屋根 暖房時)[W] K:構造体の熱通過率[W/(m2・K)]
A:構造体の面積[m2] Δtn:内外温度差[℃]

熱通過率は冷房時と同様の式で求めます。

ここで冷房時と違うのが室内と外部の温度差(内外温度差)を用いている点です。実効温度差を用いないのは、日射の影響は暖房時には熱取得で、安全側となること、暖房期は外気温の変動が小さく、熱貫流の時間遅れを考慮する必要が小さいためです。

土間床・地中壁の構造体負荷計算(暖房時)

次に、土間床・地中壁について、地盤面に接している部分と地中の部分で計算方法が異なります。

地盤面に接している部分は下式によって求めます。

土間床・地中壁の構造体負荷 計算式(地盤面に接している部分)

qn=K×l×ETDd

qn:構造体負荷(土間床・地下壁)[W] K:構造体の熱通過率[W/(m・K)]
l:土間床、地下壁の外気に接する周長[m] ETDd:地盤の実効温度差[℃]

地盤の実効温度差は東京以南で16℃、それ以外では20℃を用い、東京の最低気温とその計算対象地点の最低気温の差により補正します。

熱通過率は土間床、地下壁・床面によって異なり、下式によって求めます。

土間床の熱通過率

KF=0.41λs+0.72

KF:土間床の周長あたりの熱通過率[W/(m・K)] λ:地盤の熱伝導率[W/(m・K)]

地下壁、床面の熱通過率

KW=0.88λs+0.95

KW:地下壁、床面の周長あたりの熱通過率[W/(m・K)] λ:地盤の熱伝導率[W/(m・K)]

次に地中の部分について、この場合は外壁と同様の式を適用して計算を行います。

土間床・地中壁の構造体負荷 計算式(地中の部分)

qn=K×A×Δt

qn:構造体負荷(地中壁・床面 暖房時)[W] K:構造体の熱通過率[W/(m2・K)]
A:構造体の面積[m2] Δt:室内温度と地中温度の差[℃]

熱通過率は、壁体と地盤1m分を考慮して求めるのが一般的であるが、壁体の熱通過率のみで考える場合もあります(安全側になるため)

まとめ

今回は室内負荷の構造体負荷について、その計算方法についてまとめました。式の構造を見ると基本的に熱通過率、温度差、面積の3つの積によって求められていることがわかると思います。個人的に思う計算する時に押さえておくべきポイントをまとめておきます。

  • 冷房暖房、構造体の種類によって負荷計算に計上するかしないか異なる
冷房暖房
外壁・屋根計上する計上する
土間床・地中壁計上しない計上する
  • 冷房暖房、構造体の種類によって用いる温度差が異なる
冷房暖房
外壁・屋根実効温度差内外温度差
土間床・地中壁×実効温度差
内外温度差

個人的な感想ですが、計算する時はここがミソかなと思います。どの温度差を適用するかどうかは暗記してもしょうがないので、日射等により時間遅れの影響受ける箇所かなーとか考えながら、計算していくのが良いのではと思いました。

結局は実際に手を動かして計算してみなければわからないことが多いなと感じました。土間床、地中壁の部分はまだわからない部分がおおいので色々文献を漁りながら理解を深めれればと思います。

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