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熱負荷計算 -空調設計の熱負荷とは-

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熱負荷
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この記事では、空調機器や熱源機器の選定の根拠となる、熱負荷計算の概要について説明を行います。

空調の設計、施工のあらゆるフェーズでよく聞く言葉になるのでこの内容を理解することは仕事を進める上で重要な知識になると思います。

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熱負荷計算の概要と目的

熱負荷とは、日射、外気の取り入れ、機器の発熱など建物の運用上で発生する熱のことであり、この熱を求めることを熱負荷計算と言います。

基本的に熱負荷計算はその建物で発生するであろう最大の熱負荷を求め、空調機器の選定を行うことを目的としています。

では建物で発生する熱負荷にはどういったものがあるのかを次に解説します。

建物で発生する熱負荷の種類

建物で発生する負荷として、私の解釈ですが、空調システムに関わらず発生する負荷空調システムの種類によって発生する負荷の2種類があると考えています。扱う空調システムによって計上する負荷が異なるため負荷計算を行う際は機器がどの負荷を処理するかを見極め、計算する必要があります。また、冷房負荷計算、暖房負荷計算の違いによって計上しない負荷もあるためその違いも含め下記に示します。

空調システムに関わらず発生する負荷

室内負荷・・・室内の温湿度を一定に保つために必要な熱量のこと。この熱量を求めることで、室内の負荷処理を目的とするファンコイルユニットやパッケージユニットの選定を行うことができる。室内負荷には以下に示すような負荷によって構成されます。

  • ガラス窓負荷 主に窓ガラスを透過する日射と外部との温度差による貫流熱負荷があり、いずれも顕熱負荷になります。基本的に冷房時のみ負荷として計上し、暖房時は日射熱は取得熱となるため貫流熱のみ計上します。

  • 構造体負荷・・・外壁、屋根、床からの貫流熱負荷であり、顕熱負荷となります。地盤からの貫流熱負荷(地中壁、土間床)について、冷房時は設計温度に対して地中温度は低く、熱損失となるため負荷としては計上しません。

  • 内部間仕切り負荷・・・隣室との温度差がある場合に発生する貫流熱負荷であり、顕熱負荷となります。

  • 隙間風負荷・・・扉の開閉や、建物の隙間から侵入する外気による負荷であり、顕熱負荷と潜熱負荷があります。アトリウム空間などの煙突効果が発生するような場合はこの負荷が大きくなる傾向にあります。

  • 室内発熱負荷・・・室内のOA機器、照明、人体による発熱負荷があり、機器類の発熱は顕熱負荷、人体による発熱は顕熱、潜熱負荷があります。暖房の場合は安全側なので基本は無視します。

  • 蓄熱負荷・・・間欠空調(スケジュール運転)の場合に什器や躯体に対して蓄熱される熱による負荷であり、顕熱負荷となります。

外気負荷・・・外気の温湿度と室内温室度の差によって発生する負荷であり、顕熱、潜熱負荷があります。この熱量を求めることで、外調機の選定等を行うことができる。

空調システムの種類によって発生する負荷

  • 配管材通過熱負荷・・・配管内の熱媒とその周囲の温度差による負荷であり、顕熱負荷となります。配管システムを採用し、その配管長が長い場合に計上します。

  • ダクト材通過熱負荷・・・ダクト内の空気とその周囲の温度差による負荷であり、顕熱負荷となります。ダクトシステムを採用する場合に計上しますが、暖房時は送風機発熱と相殺するため無視することが多い

  • ポンプ負荷・・・ポンプの発熱による負荷であり、顕熱負荷となります。ポンプを採用する際は計上します。

  • 送風機負荷・・・送風機の発熱による負荷であり、顕熱負荷となります。送風機が採用される場合計上します。

  • 装置蓄熱負荷・・・間欠運転の停止時、配管の保有水が周囲と熱授受を行い、保有水に蓄熱されることによって発生する負荷であり、顕熱負荷となります。

  • 再熱負荷・・・再熱による湿度制御を行う際に発生する負荷であり、顕熱負荷となります。

以上のような負荷が種類として挙げられます。これらの負荷を処理することで室内温湿度を一定に保つことができます。下表に負荷の種類とその特徴をまとめます。

冷房負荷暖房負荷
顕熱負荷潜熱負荷顕熱負荷潜熱負荷
空調システムに関わらず発生する負荷ガラス窓負荷※1
構造体負荷
内部間仕切り負荷
隙間風負荷
室内発熱負荷△※2
蓄熱負荷
外気負荷
空調システムの種類によって発生する負荷配管材通過熱負荷△※3△※3
ダクト材通過熱負荷
ポンプ負荷
送風機負荷
装置蓄熱負荷△※4※4
再熱負荷
○:計上する -:計上しない
※1 貫流熱のみ
※2 暖房時は発熱量が大きい場合は取得熱として計上する
※3 配管長が長い場合は計上する
※4 設備規模が大きい場合は計上する

まとめ

本記事では、熱負荷計算の概要について説明しました。熱負荷計算は、空調機器や熱源機器の選定に必要であり、空調の設計や施工に携わる方々にとって、この知識は非常に重要になります。

また、基本的にはどの負荷をどの機器に割り当てるかが負荷計算後の機器選定で重要になってきます。システム的にこの負荷はこの機器が処理するなーという感覚が空調エンジニアに必要な素養になってくるのではと思っております。

次記事では負荷計算を具体的にどのような数式に基づいて行うかを解説しようと思っております。

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