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公共建築工事標準仕様書 配管ダクトの支持について

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公共建築工事標準仕様書
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配管、ダクトを施工するとき、支持を取り付けなければなりません。配管ダクトの自重を支持するもの、地震の際、配管ダクトの過剰な変位を抑制するためのもの。これらの役割や取り付けのルールをしっかり理解することで、適切な管理ができるようになると思います。


支持は基本ルールを覚えるだけなので、難しい計算とかはしなくてもよく、新人でもとっつきやすい内容になっているかなと思います。これを知っているだけで、「お、こいつ勉強しているな」と思われます。

今回は公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)に基づいて説明していきたいとおもいます。

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支持の種類について

配管ダクトの支持には主に自重を支持するための標準支持、地震などの場合に配管ダクトの過度な変異を抑制する耐震支持の二つがあります。
公共建築工事標準仕様書には標準支持は「吊り金物による吊り」、耐震支持は「形鋼振れ止め支持」と示されています。

標準支持について

標準支持は基本的にどの配管ダクトに取り付けなければならない最低限の支持です。

配管の支持に関して、その例を下記の絵に示します。単体吊りの場合はインサート全ネジ吊りバンドによって支持します。複数管を吊る場合は全ネジ、鋼材、吊りバンドで支持します。

鋼材を使用する際は選定要領が定められているので、それに基づいて選定を行います。

ダクトの場合は下記の絵のようになります。全ネジ2本に鋼材を流し、支持します。

上記に挙げた支持の例は標準仕様書に記載されていた支持であり、ほんの一部です。他にも支持方法はありますがここでは割愛します。

耐震支持について

標準支持に対し、耐震支持はサイズや種類によって取り付けなくても良い場合があります。

下記に配管とダクトの耐震支持の例を示します。基本的に鋼材、インサート、バンドで支持されます。標準支持との絵的な違いで言うと全ネジボルトを使っているかいないかが挙げられます。

耐震支持の鋼材についてもその選定要領が定められています。

標準支持の支持間隔と注意事項について

配管、ダクトのサイズやその種類によって支持間隔が定められています。標準支持のルールについて解説していきます。

配管の標準支持

配管の標準支持は以下の通りになります。サイズが大きくなるほど支持間隔が大きくなっていることがわかります。

呼び径
1520253240506580100125150200250300
管種鋼管
ステンレス鋼管
2m以下3m以下
ビニル管
耐火二層管
ポリエチレン管
1m以下2m以下
銅管1m以下2m以下
令和4年度公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)より

基本的にこの支持間隔に基づいて施工を行います。このルールに加えて注意事項があります。

鋼管、ステンレス鋼管の全ネジについて

鋼管、ステンレス鋼管を使用する場合、配管径によって全ネジサイズを変えなければなりません。
呼び径100以下ではM10、呼び径125-200はM12、呼び径250以上ではM16となります。

全ネジボルト径
呼び径100以下M10
呼び径125-200M12
呼び径250以上M16
令和4年度公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)より

電磁弁等の重量物、可撓性を有する継手を吊る場合

電磁流量計などの重量物、MD継手、ハウジング継手を利用する場合は上記の支持に加えて、その計器、継ぎ手の直近で吊りを設けなければなりません。

標準仕様書上では「直近で」という曖昧な表現になっているので、監督員や現場の状況によってどこに支持を設けるかは変わってきそうです。

なんにせよ重量物の支持、MD、ハウジングとか使う時は支持が増えるというくらいに覚えておけば良いと思います。

冷媒用銅管の支持間隔について

冷媒用の銅管は別途標準支持の間隔が定められており、外形が9.52mm (3分)以下の場合は1.5m以下、12.7mm(4分)以上の場合は2m以下の間隔で支持することと定められています。

支持間隔
外径が9.52mm以下の場合(3分以下)1.5m以下
外径が12.7mm以上の場合(4分以上)2m以下
令和4年度公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)より

ダクトの標準支持

ダクトの標準支持間隔は工法によって決められています。アングルフランジダクトは3640mm以下ごと、スライドオンフランジ工法ダクトは3000mm以下ごと、共板フランジ工法ダクトは2000mm以下ごと、スパイラルダクトは4000mm以下ごとに取り付けることとしています。

支持間隔
ダクト種別アングルフランジ工法ダクト3640mm以下ごとに
スライドオンフランジ工法ダクト3000mm以下ごとに
共板フランジ工法ダクト2000mm以下ごとに
スパイラルダクト4000mm以下ごとに
令和4年度公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)より

ダクトの標準支持についても注意事項があります。

機械室でのスライドオンフランジ工法ダクトと共板フランジ工法ダクトについて

上記工法のダクトについて、機械室で長辺が450mm以下のダクトを施工する時は2000mm以下ごとに吊りを設けなければなりません。

鋼材の長さについて

支持する鋼材の長さは保温も含めたダクトの横幅以上の長さものを用いることとされています。

こう言うルールが定められている理由としては給気ダクトの場合、保温を考慮しない長さにしてしまうと、吊りの全ネジとダクトが共巻きになってしまい、全ネジから結露してしまう可能性があるし、単純に施工性が悪くなるためだと思われます。当たり前っちゃ当たり前ですね。

耐震支持の支持間隔と注意事項について

配管の耐震支持

呼び径
1520253240506580100125150200250300
管種鋼管
ステンレス鋼管
8m以下12m以下
ビニル管
耐火二層管
ポリエチレン管
6m以下
銅管
令和4年度公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)より

耐震支持はサイズによっては設けなくてよく、鋼管・ステンレス鋼管は40A以下、ビニル管・耐火二層管・ポリエチレン管・銅管は20A以下の場合は不要となっています。

また耐震支持もこのルールに加え注意事項があります。

蒸気配管の耐震支持について

蒸気配管に対して下方から支持する場合は熱伸縮に対応するためローラー金物を使用することとなっています。

また、熱伸縮によって配管が座屈することを防止するため、固定点と伸縮継手の中間に座屈防止用の耐震支持を設けることとなっています。

冷媒配管の耐震支持について

冷媒配管の耐震支持については基本的に銅管の支持間隔に準じて決めます。しかし、冷媒管は単体で吊られる場合と、液管、ガス管を共吊りする場合があります。

液管とガス管の共吊りの場合、基本的には液管の外径に準じて決めますが、液管の外径が25mm未満の場合はガス管の外径に準じて耐震支持間隔を決めます。

耐震支持間隔の決め方
液管の外形が25mm(1インチ)未満の場合ガス管の外形に準じる
液管の外形が25mm(1インチ)以上の場合液管の外形に準じる
令和4年度公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)より

余談ですが、現場では耐震支持の適応外の外径をもつ冷媒管を結構使います。ルール上は設ける必要はないのですが、客先から不安だから全部つけてくれと言われることもあるそうです。

私個人としては外径によって耐震支持を施工するしないを判断してやるって言うのが結構面倒なのでどれだけあるかにもよりますが、全部やってしまうというのも一つ手なのかなとも思ったりします。

ダクトの耐震支持

ダクトの耐震支持は工法によらず12m以下ごと、かつ末端部分に設けることとされています。

まとめ

今回は公共建築工事標準仕様書の配管ダクトの支持について解説を行いました。支持一つとってもこんなに規定があるのかと私自身驚きました。しかしこれを覚えている覚えていないとでは現場の見え方が大きく変わるなというのも感じました。

現場を見ると意外とルールを守れていない支持があったりするのでそういうのを見つけると気づきがあって面白いです。(なんか見つけてしまうとあんまりよくない気がしますが笑)

今回紹介した支持のルールを覚えておけば施工管理としてワンアップできると思います。ぜひこの記事を参考に勉強していただけると幸いです。

今回の基準とは別に「建築設備耐震設計施工指針」でも耐震支持の基準が述べられています。標準仕様書に示されている情報よりも詳細な情報が載っているので今後それらの情報とも比較しながらまとめていきたいと思っています。

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